2007-03-01から1ヶ月間の記事一覧

フュッスリ

「芸術の未だ最も及ばざる領野は夢と、感性の擬人的表現とでも言うべきものとである。」 フュッスリ

不死なる霊は今お前のこわれやすい肉体を動かしている

「もし神というものが、生き、感じ、思い出し、予知し、天上の至高なる神が宇宙全体を支配しているように、自分が宿っている物体を支配し、統御し、動かすものだとすれば、正にお前もまた神なのだ。永遠の神は宇宙を動かしている。その宇宙は部分的には死す…

ユング

「夢はいわば混り気のない無意識の産物なのである。夢が意識化される過程でバイアスをこうむるのは疑いないが、それもやはり無意識の仕業であって、意図的な歪曲といったものではない以上、無視することができる。もともと夢の姿に変形を加えるものは、無意…

「第三の男」

「イタリアはボルジア家の時代、戦争と流血が続いたが、ダ=ヴィンチやミケランジェロを生んだ。しかし、スイスの500年の平和で残ったのは、鳩時計だけだ」 映画「第三の男」

思考はポーランド語 物を書くときは、フランス語で考えた単語を英語へと翻訳

「私は書くときには多いに苦労する。個人的で、自動的で、あまり表に出さない思考はポーランド語でする。自分の考えを注意深く表わしたいときはフランス語でする。物を書くときは、フランス語で考え、その思考した単語を英語へと翻訳するのだ」 フォード・マ…

アフリカは、あらゆる人間性を欠いた形而上的な戦場

「アフリカは、アフリカ人から人間としての要素を削除するような環境、背景として読者に与えられ、さまよえるヨーロッパ人たちが危険を犯して侵入する、あらゆる人間性を欠いた形而上的な戦場として描かれている」 チヌワ・アチュベ(ナイジェリア)が、講演…

「彼(フォークナー)は一作ごとに視点を変えているけれども、それは前の作品で足りなかったところを補い、つけ加えるという以上の意味を持っていない。いいかえると、フォークナーの連作は、すべてが同一平面上に並んでいます。」 中上健次 単行本『地の果て…

不死なる霊は今お前のこわれやすい肉体を動かしている

「不死なる霊は今お前のこわれやすい肉体を動かしている――ではゆうれいはカントの「純粋理性批判」をつきつけられたら、どんなにふるえることだろう。この本こそドイツで超越神論の首を切った剣である。」 ハイネ『ドイツ古典哲学の本質』第三巻 哲学革命 カ…

こうしたとりあつかい方が「ローマン的」なのである。

「中世のすべての芸術はこうした「比喩的」な意味で表現されている。こうしたとりあつかい方が「ローマン的」なのである。それゆえに中世の文学には神秘的なものがあまねくただよっている。…その文学のうちのすべてのものは、うつろいゆく月光にてらされたよ…

ホメロスがギリシャの神々をつくり出したといわれている。

「ホメロスがギリシャの神々をつくり出したといわれている。それはうそだ。ギリシャの神々はホーマー以前から一定の輪郭をそなえて存在していた。ホーマーはそれらの神々の歴史をつくっただけである。」 ハイネ『ドイツ古典哲学の本質』第一巻 宗教改革とマ…

「古典的」とよぶ

「表現の形式が表現される内容とまったく一致するようなあつかい方を「古典的」とよぶのである。これはギリシャの美術品で見られることだ。ギリシャの美術品ではこうした一致のために、形式と内容との最大の調和が見いだされる。形式が内容と一致しないで、…

あの男のおかげでわれわれドイツ人が最大限の思想の自由を得た

「あの男のおかげでわれわれドイツ人が最大限の思想の自由を得たことはさきにのべておいた。ところがこのマルチン・ルターという男はわれわれドイツ人に行動の自由だけではなくて行動の手段をもあたえてくれた。たましいにからだを、思想に言葉をあたえてく…

人間は、祖先や自分が大切にしていたものを見すてようとはしない

「人間は、祖先や自分が大切にしていたものを見すてようとはしない。たとえそうしたものがこわされたり、ゆがめられたりしても、やはり人間の感情はそうしたものにこっそり、しがみつこうとする。それゆえに、あのねじまげられた民間信仰はドイツではキリス…

この学者は魔法使いとして焼きころされた

「私がここで紹介したこれらの話はドイツ人の信仰と性格とを具体的に説明している。こうした民間信仰はこれまで数百年ものあいだ教会への信仰におとらぬほどちからが強かった。あのレミギウス博士という学者は魔女について大きな本を書きあげたとき、こうし…

ドイツの民間伝説というのは、血と霧とからできていて、陰気くさく、

「君たちフランス人の民間伝説はわれわれドイツ人のそれとくらべると、なんとうつくしく、明るく、色どりにとんだものだろうか? ドイツの民間伝説というのは、血と霧とからできていて、陰気くさく、ものすごく、歯をむきだしてわれわれをにらみつけるかたわ…

フランスの文士たちはドイツのえらい学者たちにだまされて、

「フランスの文士たちはドイツのえらい学者たちにだまされて、民間信仰は中世をつうじてヨーロッパのどこでもおなじであったと思ったら、それは大まちがいだということである。善の力、つまりイエス・キリストの国についてはヨーロッパじゅうのものがみなお…

その思想方法はどこまでも革命的でありながら、そこから生まれる政治的結論はきわめて穏健

「その思想方法はどこまでも革命的でありながら、そこから生まれる政治的結論はきわめて穏健なものあり得るという実例を知るためには、この(ヘーゲル哲学の)体系の内部に含まれる幾多の必然的帰結を見るだけで十分である。このような結論に到達する思考の…

時代精神がフリードリヒ・シラーをいきいきとつかんだ。

「時代精神がフリードリヒ・シラーをいきいきとつかんだ。かれはこの時代精神と格闘した。かれはそれに圧倒され、それに服して戦い、その旗を持った。…シラーは革命の偉大な思想のために書いた。彼は精神上のバスティーュを破壊し自由の神殿の建立に献身した…

ゲーテとハイネとの物の見方・生き方の違い

「ゲーテとハイネとの物の見方・生き方の違いは彼らの詩にも直に現れた。ゲーテは静かに高く、ハイネはどこまでも地上的でかつ神経的であった。そしてゲーテの偉大さは過去へ結びたがり、ハイネの痙攣する神経はうまくゆけば未来へつながった。…おそらくこれ…

マルティン・ハイデガー

「原-歴史(Urgeschichite)について知るということは、原始的なものをあさったり骨を集めたりすることではない。それは、生半可な自然科学でもなければ、完全な自然科学でもない。そうではなくて、もしそれが何かであるとすれば、それは神話である。――」 ハイ…

マルティン・ハイデガー

「作品の作品で有ることは、世界と大地の間の争いを引き受けることに存する。争いは緊密さという単純なものにおいて最高潮に達するが故に、作品の統一はこの争いを引き受けることの中で生起する。」 ハイデガー『芸術作品の起源』

野口三千三

「最も恐れなければならないことは、新しい主義主張を知らないことではなく、自分自身を失うことだ。たとえ自分のつかんだものが他に通じないとしても、それはそれで仕方ないではないか。自分が納得できるということが、自分のからだのすみずみまでの全部の…

将来、地球はひとつのインターフェース

「将来、地球はひとつのインターフェースにすぎなくなっているだろう」ポール・ヴィリリオ『速度と政治』

ああ言う踏み台だけはどこの古道具屋にも転がっている。

「あらゆる古来の天才は、我我凡人の手のとどかない壁上の釘に帽子をかけている。尤も踏み台はなかった訣ではない。 又 しかしああ言う踏み台だけはどこの古道具屋にも転がっている。」 芥川龍之介『侏儒の言葉』

この遺書を公にするに当つて、幾多の改竄を

「勿論予はこの遺書を公にするに当つて、幾多の改竄を施した。譬へば当時まだ授爵の制がなかつたにも関らず、後年の称に従つて本多子爵及夫人等の名を用ひた如きものである。唯、その文章の調子に至つては、殆原文の調子をそつくりその儘、ひき写したと云つ…

熊谷孝

「ところで、『右大臣実朝』ですが、この作品の創造に際して鴎外や井伏の歴史小説に学ぶところが太宰にあったのではないか、と私は申しましたが、証拠は何一つないのです。私に確実に言えることは、戦中の歴史小説ブームですね、そのブームのモニュメントに…

自殺−これは芥川氏の生涯における一つの劇である。

「自殺−これは芥川氏の生涯における一つの劇である。洵に凄まじい一つの行動である。が、それ以外のなにものでもない。 彼の作品と彼の自殺とは何等論理的関係はない。」 小林秀雄「芥川龍之介の美神と宿命」

言葉は辞書の中にある時よりも美しさを加えて

「文章の中にある言葉は辞書の中にある時よりも美しさを加えていなければならぬ。」 芥川竜之介『侏儒の言葉 ; 文芸的な、余りに文芸的な』

南部修太郎

「芸術の出発点をより多く自己の体験内容に置く作家に対してより多く自己の智識内容に置く作家がある。それは各の素質、境遇に依つて必然に二つの傾向に分れるのだと思ふが、前者はその人間が直接人生に触れてゐると云ふ意味に於て表現が比較的手易く真に、…

芥川の作品は銀のピンセツトで人生を弄んでゐる

「芥川の作品は銀のピンセツトで人生を弄んでゐるやうな、理智の冷たさがある……」 菊池寛