2012-01-01から1年間の記事一覧

所詮人生の第一義は胃の腑こ問題なり

「自殺を迫るの宗教、教育果して何人の能く耳を傾くべき乎、人の妾となるも喰はんが為め也、議員の節を賣るも喰はんが為め也、壮士の投票を買ふも喰はんが為め也、之を禁ぜんと欲せば之に喰ふの途を與へざる可らず、人生果して喰はずして徳義人道あることを…

信仰にしがみつけ

「信仰のあらゆる形式を超えて信仰にしがみつけ。」テニソン 「古代の賢者」

その時私はしきりに人間らしいという言葉を使いました。

「その時私はしきりに人間らしいという言葉を使いました。Kはこの人間らしいという言葉のうちに、私が自分の弱点のすべてを隠しているというのです。なるほど後から考えれば、Kのいう通りでした。しかし人間らしくない意味をKに納得させるためにその言葉…

いちばん明白な思想

「いちばん簡単で、いちばん明白な思想こそが、いちばん理解しがたい思想である。」ドストエフスキー 『未成年』

われわれは現在についてほとんど考えない。

「われわれは現在についてほとんど考えない。たまに考えることがあっても、それはただ未来を処理するために、そこから光をえようとするにすぎない。現在はけっしてわれわれの目的ではない。過去と現在はわれわれの手段であり、未来のみが目的である。」ブレ…

2012.11.22

2012.11.3

義理をかく、人情をかく、恥をかく、これが三角

「金を作るにも三角術を使はなくちゃいけないと言ふのさ…義理をかく、人情をかく、恥をかく、これが三角になる。」 夏目漱石 『我輩は猫である』 この三角術は人心を掌握するためにも有効?武将の帝王学。黒澤『乱』の三兄弟?

"You have rightly chosen,"

""Bring me the two most precious things in the city,"said God to one of His Angels; and the Angel brought Him the leaden heart and the dead bird."You have rightly chosen," said God, "for in my garden of Paradise this little bird shall sing…

自分に信頼し、自分は正道を歩んでいると信ずるごとき態度

「2 〔セネカが答える。〕実のところ、セレヌス君、私もすでに長いこと誰にも言わずに自 問してきた−君の言うような心の状態を何に似ていると考えたらよいか−と。そしてその適例を求めるならば、次のような人たちがいちばん近いと思う。長い間の重い病気から…

昨日の事を後悔したければ、後悔するがよい、いづれ今日の事を後悔しなければならぬ明日がやつて来るだらう。

「宮本武蔵の独行道のなかの一條に「我事に於て後悔せず」といふ言葉がある。菊池寛さんは、よほどこの言葉がお好きだつたらしく、人から揮毫を請はれるとよくこれを書いてをられた。菊池さんは、いつも「我れ事」と書いてをられたが、私は「我が事」と読む…

科学は進歩せり、生産は増加せり、生活の度は上進せり

「科学は進歩せり、生産は増加せり、生活の度は上進せり、然れども何ぞ同情、博愛、義侠の心の衰へたるや。同情、博愛、義侠、是れ社会人道の大精神也、文明進歩の大目的也、世に政治有る所以も是に在り、世に宗教々育ある以も是れに在り、之れ有つて而して…

ハムレットを支配している感情は表現することができない

「ハムレットを支配している感情は表現することができないものであり、なぜならそれは、この作品で与えられている外的な条件を越えているからなのである。そしてハムレットはシェークスピア自身なのだということがよくいわれるが、それはこういう点で本当な…

自殺を決定するのは社会の道徳的組織

「自殺を決定するのは社会の道徳的組織である。」デュルケム 『自殺論』

個人の意志、行為が社会的に成りたたないときに、強圧され、死ななければならない

「個人は、社会的存在として相互の規制下に組織的に生活し、社会組織に制約され、個人の意志、行為が社会的に成りたたないときに、強圧され、死ななければならない立場に追いこまれる。」デュルケム 『自殺論』

炭って木を燃やして作るんだよね。二酸化炭素は増えないの?

「炭って木を燃やして作るんだよね。二酸化炭素は増えないの?地球温暖化が進んじゃう。炭を燃やせば二酸化炭素は出るけど、それはもともと木が成長する時に吸ったものだから地上の二酸化炭素を増やす事にはならないのよ。また木を植えて育てれば、その分の…

宵待草のやるせなさ今宵は月も出ぬそうな

「待てど暮らせど来ぬ人を 宵待草のやるせなさ 今宵は月も出ぬそうな」竹久夢二 1918(大正7年)9月

奥さん、Kは自殺しました

「私は顋で隣の室を指すようにして、「驚いちゃいけません」といいました。奥さんは蒼い顔をしました。「奥さん、Kは自殺しました」と私がまたいいました。奥さんはそこに居竦まったように、私の顔を見て黙っていました。その時私は突然奥さんの前へ手を突…

徳川氏はその諸法度をもって人民の噴火口を密閉すること三○○年

「徳川氏はその諸法度をもって人民の噴火口を密閉すること三○○年、由井正雪、佐倉宋五郎、大塩平八郎等、点々二、三の小爆発を見たるのみ。しかるに、この三○○年密閉の結果は、米艦来航の導火によりて、大破壊を生じ、大転覆を起こし、ついに明治政府の建設…

首都は実に一国の花なり。しかれども一国の根幹は地方にあり

「首都は実に一国の花なり。しかれども一国の根幹は地方にあり。東京は実に日本の花なり。しかれども、仏国の実力が決してパリーに存するるにあらざると同じく、日本の実力は決して東京に存するにあらざるなり。東京は腐敗所なり。九州、東北、中国、四国、…

その少数は他日またその多数のために転覆せらるべきことを意味す

「要するに、「成功」の裏には「失敗」あり、「失敗」は常に多数にして「成功」は常に少数なるがゆえに、「成功」は少数をもって多数を圧することを意味し、その少数は他日またその多数のために転覆せらるべきことを意味す。結局、「成功」の二字には不道徳…

過ちて改めざる是を過という

「過而不改、是謂過 」 過ちて改めざる是を過という『論語』

すでに生命を失いたるその肉と骨とは、ただ黙然としてその座上に横たわりしなるべし

「渋沢家の奥ふかき一室において華麗なる装飾物の間において、かの小包郵便物の開かれたる時、意外にも現れ出でたるその血染めの手首は、はたして何事を渋沢家の人々に語りしか。吾人はその手首が堅くそのこぶしを握りつめいたりしか、あるいはそのしなびた…

世間体がこの場合、私にとっては非常な重大事件に見えたのです

「それでも私はついに私を忘れる事ができませんでした。私はすぐ机の上に置いてある手紙に眼を着けました。それは予期通り私の名宛になっていました。私は夢中で封を切りました。しかし中には私の予期したような事は何にも書いてありませんでした。私は私に…

夕に死すとも可

「子曰朝聞道夕死可」 朝に道を聞かば夕に死すとも可なり『論語』

下駄も仏も

「下駄も仏も同じ木のはし」横井也有 『鶉衣』

自分が最も信愛しているたった一人の人間すら、自分を理解していないのかと思うと、悲しかったのです

「酒は止めたけれども、何もする気にはなりません。仕方がないから書物を読みます。しかし読めば読んだなりで、打うち遣やって置きます。私は妻から何のために勉強するのかという質問をたびたび受けました。私はただ苦笑していました。しかし腹の底では、世…

私はあくまで滑った事を隠したがりました。

「要するに私は正直な路を歩くつもりで、つい足を滑らした馬鹿ものでした。もしくは狡猾な男でした。そうしてそこに気のついているものは、今のところただ天と私の心だけだったのです。しかし立ち直って、もう一歩前へ踏み出そうとするには、今滑った事をぜ…

私にはKがその刹那に居直強盗のごとく感ぜられたのです。

「精神的に向上心のないものは、馬鹿だ」私は二度同じ言葉を繰り返しました。そうして、その言葉がKの上にどう影響するかを見詰めていました。 「馬鹿だ」とやがてKが答えました。「僕は馬鹿だ」Kはぴたりとそこへ立ち留まったまま動きません。彼は地面の…

私はその刹那に、彼の前に手を突いて、詫まりたくなったのです。

「彼はいつもの通り書物から眼を放して、私を見ました。しかし彼はいつもの通り今帰ったのかとはいいませんでした。彼は「病気はもう癒いのか、医者へでも行ったのか」と聞きました。私はその刹那に、彼の前に手を突いて、詫まりたくなったのです。しかも私…