2013-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ある蘇生術をほどこさねばならぬものは、すでに死滅したものである

「古典を現代のものとするためには、ある蘇生術をほどこさねばならぬといふやうな考え方は間違いである。又ある蘇生術をほどこさねばならぬものは、すでに死滅したものである。さうして死滅したものは古典でない。再評価とは忘れられている形を人々の注意に…

奈良は日本の故郷である

「奈良は日本の故郷である。最も古い歴史の形である。ここだけは永久に日本の古さに止めたいと、私は思ふ。それは消極の方針でなく、限りない誇りを持つた積極である。保守には勇猛の自信が必要である。」保田與重郎「ふるさとの大和」 『保田與重郎全集第四…

懐疑は、恐らくは叡智の始めかも…

「懐疑は、恐らくは叡智の始めかもしれない、然し、叡智の始まる処に芸術は終わるのだ。」アンドレ・ジイド 「公衆の重要性」『続プレテクスト』

土地が血統である。國土が血すぢである。

「土地が血統である。國土が血すぢである。土地の観念がなくして萬代の血すぢはないのである。私は萬葉の土地歌枕を語るだけで血すぢにつたはるやうな感動を味はふのである。こんにちは無位無冠のしがない一人の民にすぎない我々は、同じき我々の父祖と共に…

日本の軍人の無降伏主義そのものさえ、近時の軍人の考え方

「著者が大きい問題として取り上げている日本の軍人の無降伏主義そのものさえ、近時の軍人の考え方であって、日本人の伝統的な考え方ではありません。降服ということは恥辱と見られたに相違ないが、しかし最近におけるようなヒステリックな考え方は昔の武士…

著者は反対のデータを細心にさがし回るという努力をほとんどしていない

石田英一郎に書評を勧められた和辻がそれを断るために書いた 「しかしわれわれは、外国人の日本研究に付随するこの種の難点に対しては、寛容な態度をもって接するという習慣を持っているのです。それよりもむしろ、間違いのないデータを並べている場合でも、…

日本的ということが、ひ弱くはかないものの代名とされていた

「本日日本的なものといふことが非常に多くの人々によつて云われている。ところでこういう言葉や東洋的ということばは概してヨーロッパ的な考え方から出てくるものとおもわれる。むしろこの反対に我国でヨーロッパ的といわれているものに、僕らは日本的なこ…