2012-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ある観念を、別の観念のしるしの下に提示する

「ある観念を、より印象的な、または、よりよく知られた別の観念のしるしの下に提示すること。なお、後者と前者の関係は、ある種の一致、ないしは、類似によって結ばれているだけである。」P.フォンタニエ "Les Figures du discours", Paris,flammarion,1968…

何ものかではなく、ある(il y a)という事実

「諸存在も人々も、万物が無に帰した様を想像してみよう。その場合、われわれは純粋な無と出会うことになるのであろうか。万物のこのような想像的破壊の後に残るのは、何ものかではなく、ある(il y a)という事実である。」エマニュエル・レヴィナス 『時間…

森はメタファー

「森というのは、物語テクストの隠喩(メタファー)です。寓話的テクストだけでなく、あらゆる物語テクストの。」ウンベルト・エーコ 『エーコの文学講義』p.12

<ある>という普通の事実なのだ

「もはや夜通し見張るべきものものなどないときに、目醒めている理由など何もないのに夜通し眠らずにいる。すると、現前という裸の事実が圧迫する。…無の背後に浮かび上がるこの現前は、一個の存在でもなければ、空を切る意識の作用のなせるものでもなく、事…

いつまでも記憶に残る、ぞっとするような悲劇

「我々は実際には安全だった大坂の危険を避けて、同じように危険な兵庫へやって来たのである。そして、そこですぐに経験した出来事は、外国代表団の全員と何人かの領事と各国の外国人すべての大虐殺にまで発展しなかったのは幸運であったが、いつまでも記憶…

核と過去、現在と原発, 2012/1/25

【007/サンダーボール作戦 レビュー】 NATOの訓練飛行中に消息を絶ったイギリス空軍機の行方を追うボンド。1 億ポンド相当の金塊を要求してきた謎の組織スペクターの目的は、 空軍機が搭載していた原子爆弾2基だった。時代を感じさせる映像ながらも、 随所で…

あらゆるものは写真になる

「今日のあらゆるものは写真になるために存在している」スーザン・ソンタグ

苦しみは汲めども尽きぬ

「苦しみは汲めども尽きぬ。 神の言葉の響きは殺戮の花ざかりの中に蒔かれたのだ。 荒々しい上にも荒々しく!」ガブリエレ・ダンヌンツィオ 『聖セバスチァンの殉教』

蓋然的に真実らしきものをつかんだということになる

「すべての型が破れ去ったあとにもし発明がありえたとすれば、それはおおよその見当で蓋然的に真実らしきものをつかんだということになるだろう。」石川淳 『レス・ノン・ヴェルバ』

一つの個性というよりは一つのポーズだった

「彼の知性は劇的であり、その全体像は一つの個性というよりは一つのポーズだった。」アーサー・シモンズ 「ポーズをとる芸術家―オスカー・ワイルド」

迷信の首魁は民衆である。

「迷信の首魁は民衆である。すべて迷信においては、賢者たちが愚者どもに追随する。そして正常の場合とは反対に、まず実行があって、あとから理論がこれに当てはめられる。」フランシス・ベーコン 「随想集」

現実と可能との二つの世界はありうる。

「一本にまとまったはずの地上の人間の世界にも、なお現実と可能との二つの世界はありうる。そして、そのあいだには、信仰に依るところの『神秘的な関係』はありえないとしても、絶縁に依るところの政治的な関係はありうるだろう。すでに絶縁なのだから、関…

拒否でさえないもののはだかがそこにある

「…サルトルの『嘔吐』なんていう小説は、てらいでもなんでもないことがわかりました。いまから考えてノートル・ダムが吐き気を起こした時、これが何ともいえない一種のもの、拒否でさえないもののはだかがそこにあると感じました。」森有正・堀田善衞「彼を…

過去の時代の最もすぐれた人たちと会話を交わすようなもの

「なべての良書を読むことは、それらの著者である過去の時代の最もすぐれた人たちと会話を交わすようなもの、しかも、しの人たちが自分の思想の最良のものだけを私たちにあかしてくれる、念入りに仕上げられた会話なのである。」ルネ・デカルト 『方法序説』…

その水兵は、行列のすぐ前方を横切ろうとした

「二月四日(陰暦一月十一日)早朝から備前(岡山)藩兵が神戸を通過してゆくのを見たが、午後二時頃、ある家老の行列が一名のアメリカ水兵を射撃した。その水兵は、行列のすぐ前方を横切ろうとしたのである。この発砲につづいて、かれらは出逢った外国人をひと…

其従兵、外国人ト神戸駅摂津ニ争闘ス

「岡山藩家老日置帯刀忠尚 藩兵ヲ率ヰテ西宮ニ赴ク。途次、其従兵、外国人ト神戸駅摂津ニ争闘ス。各国使臣、乃チ書ヲ帯刀ニ致シテ其妄挙ヲ詰リ、且兵ヲ出シテ駅ノ東西両口ヲ扼シ、兵士及佩刀者ノ往来ヲ絶チ、又諸藩船艦ノ港内ニルモノヲ拘留ス。尋デ十四日 …

生活力とは空間を刻々に充実させて行く精神力のこと

「生活力とは前途の空虚なる空間を刻々に充実させて行く精神力のことである。その精神力の作用として、日々の営みをしたり、文章を書いたり、いろいろなことをする。それらはみな世界像の一部を形成するところの、今日の現実の上での出来事に相違ない。ただ…

切れば血のほとばしりでるようなさまざまな体験

「何らかの原体験というものが作者のうちに存在しなければ、そもそも作品というものは成立しませんから、氏の作品のなかにも、生ま生ましい、切れば血のほとばしりでるようなさまざまな体験が煮つめられていることは事実です。しかし、それらはすべて生まの…

エンピで溢れる世に幸あらんことを, 2012/1/20

【マキシマムザホルモン アルバム『耳噛じる』レビュー】アルバム【耳噛じる】 8曲目【人間エンピ】 序論人間エンピ(4:00) 作詞・作曲:マキシマムザ亮君「エンピーバリア!」 汚いもの、触りたくないものでも、エンピがあれば大丈夫。エンガチョ、ビビン…

森鴎外『堺事件』冒頭書き出し

「明治元年戊辰の歳正月、徳川慶喜の軍が伏見、鳥羽に敗れて、大阪城をも守ることが出来ず、海路を江戸へ遁れた跡で、大阪城、兵庫、堺の諸役人は職を棄てて潜み匿れ、此等の都会は一時無政府の状況に陥つた。」森鴎外 『堺事件』冒頭書き出し

いつまでも記憶に残る、ぞっとするような悲劇に終わった

「我々は実際には安全だった大坂の危険を避けて、同じように危険な兵庫へやって来たのである。そして、そこですぐに経験した出来事は、外国代表団の全員と何人かの領事と各国の外国人すべての大虐殺にまで発展しなかったのは幸運であったが、いつまでも記憶…

うすら寒さを感じられない「在日」についての本, 2012/1/11

【姜 尚中『在日』レビュー】在日 (集英社文庫 か 48-1)posted with ヨメレバ姜 尚中 集英社 2008-01-18 Amazon楽天ブックス図書館わたしは「在日」のについてのイメージを壊したかった、と著者は語る。半島の分断、感覚の分断、在日の境遇、ドイツの分断、…

卵には、世界のヒミツがいっぱいなのだ。, 2012/1/18

【『たまごのはなし―かしこくておしゃれでふしぎな、ちいさないのち』レビュー】おとなしい卵は、いろんな姿をしている。何も語らない卵だけれど、いろんな形で生きている。殻が破られれば、そこはにぎやかな生命の賛歌!子どもと一緒に語りながら読める絵本…

すべての物理学者と化学者に私は勧めたい

「感覚と生命を有する動物の実体を研究するよう、すべての物理学者と化学者に私は勧めたい。卵の生育やこれに類する自然の営みを眺めよう。無生物のように見える有機的な物質が、純然たる物理的な動因によって生命のない状態から感性と生命を持つ状態に移行…

モーム「すべて暗い森」

「人間はすべて暗い森である。」 サマセット・モーム 「作家の手帳」

読書は自由であり、弁論家と一緒に走る必要はない

「読書は自由であり、弁論家と一緒に走る必要はない。人は、ある部分を、より注意深く検討したり、よりよく記憶に留めたりするために、いつでも自分の足取りに戻ることができる。」クインティリアヌス 弁論家の教育 (小林博英)、明治図書、1981、第十巻、…

弱い敵を相手にして勝つよりも誇りに思う

「……私は激論の最中にも、相手の正しい理屈に降参して自分自身に勝つことを、弱い敵を相手にして勝つよりも誇りに思う。」モンテーニュ 『エセー』三の八

私自身が私の書物の題材なのだ。

「読者よ、このように私自身が私の書物の題材なのだ。」モンテーニュ 『エセー』第一巻序文

外国人を馬鹿にしてはならないという良い見せしめ

「昼食をとっていると、十三名のフランス兵の一隊がやってきた。かれらは群集から石を投げられたので発砲し、八名か九名の日本人を殺して来たところであった。外国人を馬鹿にしてはならないという良い見せしめであるが、同時に大坂は危険な場所だと外国人に…

日置帯刀ノ行列外国人ヲ襲ヒタル理由

「神戸ニ於テ岡山藩家老日置帯刀(忠尚)ノ行列外国人ヲ襲ヒタル理由 即時ニ釈明ヲ要スヘキノ件 本日松平備前守家臣池田伊勢日置帯刀神戸町通行之節右両人供之内より無故槍戟砲器を以て外国人え襲候ハ何故ニ候哉早速申訳ニ罷出可申候若各国公使とも満足する…