2010-09-01から1ヶ月間の記事一覧

ウィリアム・バロウズ『ジャンキー』冒頭書き出し

「おれが初めて麻薬を知ったのは 戦時中の一九四四年か五年ごろのことだ。 おれは、そのころ造船所で働いていた ノートンという男と知り合いになっていた。 本名をモレリとか何とかいうノートンは、 戦争前に給料支払い小切手を偽造して 陸軍から追い出され…

歴史小説は百年来絶えず論議されているが、

「歴史小説は 百年来絶えず論議されているが、 体系的な研究は 案外少なく、 ハンガリーの哲学者、 文学史家ジェルジ・ルカーチ 『歴史小説論』(一九三七年)ぐらいしかない。」大岡昇平 『歴史小説論』冒頭書き出し 岩波書店 1990 ブログ内検索Amazon最安値…

わたしの信仰はどこへ消えたのか。

「…死後一○年を経た○七年九月、 テレサの個人書簡の内容が書籍となって公開され、 世界に衝撃を与えた。 「Come Be My light」と題されたその本のなかには、 晩年のテレサの心情が吐露されている。 残念ながらまだ日本では未翻訳なので、 この本を紹介した「…

「居ったカッ」 「居ったッ」

「「つまり湯に這入るふりをして棄てたんじゃナ」 「ヘエ……じゃけんど、ヒョットしたら落いて行ったもんじゃ御座いませんでしょか」 「馬鹿な……吾が児を落す奴があるか」 その時に男湯の入口がガラリと開いて、百姓姿の男が一人駈け込んで来た。 そうして何…

オスカーの言うことはいつも間違っていなかった。

「批評とは 自叙伝の唯一の 洗練された形である、 とオスカー・ワイルドは述べたことがあるし、 オスカーの言うことは いつも間違っていなかった。」ハロルド・ブルーム 『聖なる真理の破壊』1990 p.180 ブログ内検索Amazon最安値でセンスの光る古本屋【ふぃ…

村長さんの処の米倉から、白米を四俵盗んで

「村長さんの処の米倉から、白米を四俵盗んで行ったものがある。 あくる朝早く駐在の巡査さんが来て調べたら、 俵を積んで行ったらしい車の輪のあとが、 雨あがりの土にハッキリついていた。 そのあとをつけて行くと、町へ出る途中の、 とある村外れの一軒屋…

毎度ありがとう存じます。ドウゾ奥様をお大事に……。

「どうかするとツイ探偵小説を地で行ってみたいような気にフラフラッとなりますから妙なもんで……ヘエ。思いもかけませぬお代を頂戴致しまして恐れ入りました。全く根も葉もない作り事を申上げまして、御心配をおかけ申しました段は、幾重にも御勘弁を……。ヘ…

夢野久作 『悪魔祈祷書』冒頭書き出し

「いらっしゃいまし。お珍らしい雨で御座いますナアどうも……こうもダシヌケに降り出されちゃ敵いません。 いつも御|贔屓になりまして……ま……おかけ下さいまし。一服お付けなすって……ハハア。傘をお持ちにならなかった。ヘヘ、どうぞ御ゆっくり……そのうち明る…

電書は「黒船」とか「ビッグビジネス」じゃない。

「興味があるのは 「電子書籍ビジネス」じゃなくて、 コンテンツの作り手から見た 電書の可能性。 ぼくにとって、 電書は 「黒船」とか「ビッグビジネス」じゃない。 街を自由に巡る 野良猫のようなイメージ。 野良電書です。」米光一成・小沢高広・電子書籍…

クリストフがいる小さな町を、ある晩、流星のように

「クリストフがいる小さな町を、ある晩、 流星のように通りすぎていったえらい音楽家は、 クリストフの精神にきっぱりした影響を与えた。 幼年時代を通じて、その音楽家の面影は生きた手本となり、 彼はその上に眼をすえていた。 わずか六歳の少年たる彼が、…

神さまのところに鉛の心臓と死んだ鳥を持ってきました。

「神さまが天使たちの一人に 「町の中で最も貴いものを二つ持ってきなさい」 とおっしゃいました。 その天使は、 神さまのところに 鉛の心臓と死んだ鳥を持ってきました。神さまは 「よく選んできた」 とおっしゃいました。 「天国の庭園でこの小さな鳥は永…

『幸福の王子』冒頭書き出し

「町の上に高く柱がそびえ、 その上に幸福の王子の像が立っていました。 王子の像は全体を薄い純金で覆われ、 目は二つの輝くサファイアで、 王子の剣のつかには 大きな赤いルビーが光っていました。」オスカー・ワイルド(結城浩訳) 『幸福の王子』冒頭書…

愛は 技術だろうか。

「愛は 技術だろうか。 技術だとしたら、 知識と努力が必要だ。」エーリッヒ・フロム 『愛するということ』 ブログ内検索Amazon最安値でセンスの光る古本屋【ふぃでりお書店】を出店中です。コトバを探す(例えば、「愛」「恋」「人間」「笑い」などなど)人…

二人共牢屋へ入れられました。

「泥棒がケチンボの家へ入ってピストルを見せて、お金を出せと言いました。ケチンボは、 「ただお金を出すのはいやだ。その短銃を売ってくれるなら千円で買おう。お前は私からお金さえ貰えばそんなピストルは要らないだろう」 泥棒は考えておりましたが、と…

自然農法 わら一本の革命

『自然農法 わら一本の革命』情報タイプ:書籍 出版社名:春秋社 著者名:福岡正信 商品種:書籍 ・知っとこ! 2010年9月11日(土)07:30〜09:25 TBS ブログ内検索Amazon最安値でセンスの光る古本屋【ふぃでりお書店】を出店中です。コトバを探す(例えば、…

「厄介な奴どもじゃ――」夢野久作 『骸骨の黒穂』末尾 むすび

「「フーム」と署長は考え込んだ。 「彼奴どものする事は一から十までサッパリわからん。切支丹と似たり寄ったりじゃ」 「……………」 「ウム。まあ良え。それ位のところで調書を作ってくれい。自殺の原因は発狂とでもしておけ。警察の中で人を殺したのじゃから…

初茸、松茸、椎茸、木くらげ、白茸、鴈茸、ぬめり茸、

「初茸、松茸、椎茸、木くらげ、白茸、鴈茸、ぬめり茸、 霜降り茸、獅子茸、鼠茸、皮剥ぎ茸、米松露、麦松露なぞいう きのこ連中がある夜集まって、談話会を始めました。 一番初めに、初茸が立ち上って挨拶をしました。 「皆さん。この頃はだんだん寒くなり…

「アッハッハッハッハッ……」

「「アッハッハッハッハッ……」 冷めたい、底意地の悪るそうな高笑いが、小雨の中の片側松原から聞こえて来た。 小田原の手前一里足らず。文久三年三月の末に近い暮六つ時であった。 石月平馬はフット立止った。その邪悪な嘲笑に釣り寄せられるように 松の雫…

日本には「能ぎらい」と称する人が多い。否。多い処の騒ぎでなく、

「日本には「能ぎらい」と称する人が多い。否。多い処の騒ぎでなく、現在日本の大衆の百人中九十九人までは「能ぎらい」もしくは能に対して理解をもたない人々であるらしい。 ところがこの能ぎらいの人々について考えてみると能の性質がよくわかる。 目下日…

能(のう)という獣は、世界中で有りとあらゆるものの真似をする

「右に就いて私の師匠である喜多六平太氏は、筆者にコンナ話をした事がある。 「熊(漢音ゆう)の一種で能(のう)という獣がいるそうです。この獣はソックリ熊の形でありながら、四ツの手足がない。だから能の字の下に列火がないのであるが、その癖に物の真…

人間到る所、青山あり

「人間到る所、青山あり。」月性『清狂遺稿』 ブログ内検索Amazon最安値でセンスの光る古本屋【ふぃでりお書店】を出店中です。コトバを探す(例えば、「愛」「恋」「人間」「笑い」などなど)人名で探す(例えば、「森鴎外」の名言、「三島由紀夫」の名言、…

結論:ヴァルター・ベンヤミンの「翻訳者の使命」

「翻訳者は 定義からして 低賃金であり、 定義からして 過剰労働であり、 彼がたまたま 詩人である場合を除いては (そんなことがしょっちゅうあるわけではないのですが)、 定義からして 歴史が彼を 原作者と同等のものとして 残してくれることもないでしょう…

社会は疾病と治療の双方によって苦しむ。

「圧制者たちは 良心を持たず、 改革者たちには 感情がなく、 社会は 疾病と治療の双方によって 苦しむ。ホレス・ウォルポール 「ストラットフォード伯爵への書簡」 Amazon.co.jp ウィジェット ブログ内検索Amazon最安値でセンスの光る古本屋【ふぃでりお書…

もう取り返しがつかないことをしなければならない

「もう取り返しがつかないことをしなければならない、 と思いつめたら、 その時、 『ある時間、待ってみる力』を ふるい起こすように!」大江健三郎 『「自分の木」の下で』より ブログ内検索Amazon最安値でセンスの光る古本屋【ふぃでりお書店】を出店中で…

神がまだ人間に絶望してはいないというメッセージ

「すべての嬰児は 神がまだ 人間に絶望してはいない というメッセージを たずさえて 生れて来る」『タゴール詩集』 (山室静 訳)弥生書房、P78 ブログ内検索Amazon最安値でセンスの光る古本屋【ふぃでりお書店】を出店中です。コトバを探す(例えば、「愛」…

「勉、つとめるというのは、自己の力を出し尽し、

「勉、 つとめるというのは、 自己の力を出し尽し、 目的を達成するまでは どこまでも続ける という意味合いを含んだ 文字である」橋本左内(伴五十嗣郎・全訳註) 『啓発録』 講談社、P42 ブログ内検索Amazon最安値でセンスの光る古本屋【ふぃでりお書店】…

諸葛亮「将苑・将誡」より

「才に傲りて もって 人を驕らず、 寵をもって 威を作さず」諸葛亮 「将苑・将誡」 ブログ内検索Amazon最安値でセンスの光る古本屋【ふぃでりお書店】を出店中です。コトバを探す(例えば、「愛」「恋」「人間」「笑い」などなど)人名で探す(例えば、「森…