この学者は魔法使いとして焼きころされた

「私がここで紹介したこれらの話はドイツ人の信仰と性格とを具体的に説明している。こうした民間信仰はこれまで数百年ものあいだ教会への信仰におとらぬほどちからが強かった。あのレミギウス博士という学者は魔女について大きな本を書きあげたとき、こうしたものについては知りぬいているので、今では自分も妖精を使えると思うようになってしまった。この学者はまじめな男だったので、自分は魔法使いだと法廷に自首しないでは気がすまなかった。そこで自首して出たので、この学者は魔法使いとして焼きころされたのである。」
ハイネ『ドイツ古典哲学の本質』第一巻 宗教改革とマルチン・ルター