土地が血統である。國土が血すぢである。

「土地が血統である。國土が血すぢである。土地の観念がなくして萬代の血すぢはないのである。私は萬葉の土地歌枕を語るだけで血すぢにつたはるやうな感動を味はふのである。こんにちは無位無冠のしがない一人の民にすぎない我々は、同じき我々の父祖と共に、この土地を味はふのみである。」

保田與重郎「父母なる國」

保田與重郎全集第四巻』p.353