2013-04-01から1ヶ月間の記事一覧

哲学すること…

「哲学することは、死を学ぶことである」 モンテーニュ 『エセー』1・20の題名

子供等は、みんなと一緒に生活して行く為には、先ず俺達が死ぬのが自然であろうと思っている。

「斯る話を聞き斯る処を見て来て後之を人に語りたがらざる者果してありや。其様な沈黙にして且つ慎み深き人は少なくも自分の友人の中にはある事なし」と言う。明らかに問題は、話の真偽にではなく、その齎す感動にある。伝説の豊かな表現力が、人の心を根柢…

祖先以来精神を練磨したることなくして、遺伝の智徳に乏しければなり

「北海道の土人の子を養て之に文を学ばしめ、時を費し財を捐てゝ辛苦教導するも、其成業の後に至り、我慶応義塾上等の教員たる可らざるや明らかなり。蓋し其本人に罪なし。祖先以来精神を練磨したることなくして、遺伝の智徳に乏しければなり。」 福沢諭吉 …

人は次第に夢見る力を失い、我と我身に近いまぼろしを振棄ててしまった

「 鳥の声の聴きなしは土地によってちがい、又明白に新しく始まったものである。たとえば山鳩は「爰へ鉄砲」と啼くと言われると、成るほど聴いて居るうちには、そうとしか解せられなくなる。ところが東北では或飢饉の年に、炒粉を山畠に働いて居る父の処へ持…

日本の悲劇の因は、アジアのホ−プからアジアの裏切者への急速な変貌のうちに胚胎していた

「思えば明治維新によって、日本が東洋諸国のなかでひとりヨーロッパ帝国主義による植民地乃至半植民地化の悲運を免れて、アジア最初の近代国家として颯爽と登場したとき、日本はアジア全民族のホープとして仰がれた。日本の勃興がアジアの民族独立運動に与…

私達は、好き嫌いの心の働きの価値を、ひどく下落させて了った

「一冊の書物を30年間も好きで通せば、 ただの好きではない。そういう好きでなければ持つ事の出来ぬ忍耐力や注意力、透徹した認識力が、「古事記伝」の文勢に、明らかに感じられる。これは、今日言う実証的方法とは質を異にしている。私達は、好き嫌いの心の…

人種の差別が受けるたましいのいたみ。それは、目に見えぬ獄

「土人は、おのれが土で造られたものと信じている。いわれのない卑下だ。かつて、私の上にも金銭、あるいは、容貌などにむかっての卑下が、どれほど私の姿をみじめにみせたことであるか。人種の差別が受けるたましいのいたみ。それは、目に見えぬ獄」 金子光…

彼女達のうへに暗い大きな不幸を感じたのは私の誤りであつたらうか。

「この歌を作った人は誰であるか、私は知らない。ただその作者の支配階級意識に驚歎した。そしてこの歌を嬉々として歌ふ少女たちを涙なくして考へることはできなかつた。天恵うすき島に盲人のごとく生まれて、西も東も知らなかつた。この民族の悲劇は、スペ…

我日本の國土は亞細亞の東邊に在りと雖ども、其國民の精神は既に亞細亞の固陋を脱して西洋の文明に移りたり

「文明は猶麻疹の流行の如し。目下東京の麻疹は西國長崎の地方より東漸して、春暖と共に次第に蔓延する者の如し。此時に當り此流行病の害を惡て此れを防がんとするも、果して其手段ある可きや。我輩斷じて其術なきを證す。有害一遍の流行病にても尚且其勢に…

どう考えても勝ち目がないとわかった時点で降伏していれば、

「日本への空襲が始まったのは、戦争が終わる一○ヶ月ほど前のこと。だから、どう考えても勝ち目がないとわかった時点で降伏していれば、空襲もなく民間人の死者もほんの少数ですんだはずだし、南方戦線で餓死同然に死んでいった兵隊もはるかに少なくなってい…

国民タルノ志操ヲ養フ

「日本歴史ハ本邦国体ノ大要ヲ知ラシメテ国民タルノ志操ヲ養フヲ以テ要旨トス」 「小学校教則大綱」 1891明治2年

極めて低俗なものであつたから全く魅力を覚えなかつた

「当時隆盛な左翼文学に就ては、芸術的に極めて低俗なものであつたから全く魅力を覚えなかつた。」坂口安吾 「処女作前後の思ひ出」

如何に美しいものにも対抗することが出来る忍耐力といふこと

「英国人はかういふ春や夏があるから冬に堪へられるのでなしに、このやうな冬にも堪えへられる神経の持主なので春や夏の、我々ならば圧倒され兼ねない美しさが楽めるのである。何れの場合も、現実に堪へ抜く強靭な生活力がそこに働いてゐることに変りはなく…

少女にとほくまでゆくんだと告げるのである

「胸のあひだからは 涙のかはりに バラ色の私鉄の切符が くちやくちやになつてあらはれ ぼくらはぼくらに または少女に それを視せて とほくまで ゆくんだと告げるのである」吉本隆明 「涙が涸れる」

たくさんのひとと手をつなぐといふのは嘘だから

「それならば、 ぼくはでてゆく 冬の圧力の真むかうへ ひとりつきりで耐えられないから たくさんのひとと手をつなぐといふのは嘘だから ひとりつきりで抗争できないから たくさんのひとを手をつなぐといふのは卑怯だから ぼくはでてゆく すべての時刻がむか…

郷里の百姓に物を教へうるなどといふ夢から醒めたまへ

「歴史を手本とする教養主義を棄てたまへ。警官より物を知つてをり、郷里の百姓に物を教へうるなどといふ夢から醒めたまへ。あるいは、そんなことは十分心得てゐると言ふかもしれない。それなら「純粋なる学生の心」に賭けて戦術主義をさつぱりと棄てたまへ…

智恵あるが故に苦痛の苦痛たるを知りて自から満足するを得ず

「最も恐るべきは貧にして智ある者なり。世の中の総ての仕組を以て不公不平なものとなし,頻りに之に向て攻撃を試み,或は財産私有の法廃すべしと云ひ,或は田地田畑を以て,共有公地となすべしと云ひ,其他被傭賃の値上げ、労働時間の減縮等,悉く皆彼等の…

やさしい妻や娘をそうしてきみの支配する秩序をまもるがいい

「無数のぼくの敵よ ぼくの苛酷な 論理にくみふせられないやうに きみの富を きみの 名誉を きみの狡猾な 子分と やさしい妻や娘を そうして きみの支配する秩序をまもるがいい」吉本隆明 「ぼくが罪を忘れないうちに」

トマス・ペイン「コモンセンス」

「今や独立がよいかどうかを議論すべきではなく、しっかりと安全な、しかも名誉ある基盤のうえにそれを達成することを切望し、むしろその事業に着手していないことを心配すべきだ」トマス・ペイン 「コモンセンス」

最小の費用で最大の幸福をもたらしてくれる政府

「安全こそが政府の真の意図であり目的でもあるので、最もよく安全を確保し、最小の費用で最大の幸福をもたらしてくれる政府が、 国民にとって何より必要である」トマス・ペイン 「コモンセンス」

一旦外国と戦争などの事あらばその不都合なること思い見るべし

「国内の事なれば兎も角もなれども、一旦外国と戦争などの事あらばその不都合なること思い見るべし。無智無力の小民等、戈を倒にすることも無かるべけれども、我々は客分のことなるゆえ一命を棄つるは過分なりとて逃げる者多かるべし。」福沢諭吉 『学問のす…

休みない省察の眼を自らに向け冷酷にして誠実なメスを自らの内部に向けて切り刻む

「我々の理知をも感情をもひいては全存在を冷静な知性を凝らして観察し一応論理化することは相当至難なことである。教壇的な博識によつては及び難いことで、日頃休みない省察の眼を自らに向け冷酷にして誠実なメスを自らの内部に向けて切り刻むことがなくて…

ゆえに、念仏で地獄に落ちても後悔しないだろう

「(実は念仏が間違った信仰で)念仏をしたために地獄に落ちるという可能性が恐くないのか?」という問いに対して、「念仏が成仏の原因となるか地獄に堕ちる原因となるかは、私の考えが及ぶ所ではない」と答えた上で、「自分が念仏以外の修行によって成仏でき…

精緻に〈読む〉ことがそれだけでなにごとかであるような現在の哲学と批評の状況

「知的な資料をとりあつめ、傍におき、読みに読みこむ作業は〈考えること〉をたすけるだろうか。さかさまに、どんな資料や先だつ思考にもたよらず、素手のまんまで〈考えること〉の姿勢にはいったばあい〈考えること〉は貧弱になるのではないか。わたしたち…

終末から逆に照射された人間の障害・空洞・異種または同種交配の網の目である現在

「書物。それは紙のうえに印刷された文字の集積体でもなければ、ある著作者の観念の系譜が、言葉にあらわされたものでもない。それは表側の視線からみると、起源からやってくる人間の反復・霧散・逼迫の連続体であり、裏側の視線からみると、終末から逆に照…

人間の身体が像(イメージ)に転化する唯一の場所だ

「現在というものの病理は、どうやって形成され、どんな伝播の特質をもっているのか。それをわりだすのは難しい。ただ理路としていうだけなら、系統的にそれを位置づけるのはできないことはない。それぞれの書物のそれぞれの頁は、じぶん以外の他の書物の他…

書かれなくてもいいのに書かれるコトバ

「たぶん現在は、書かれなくてもいいのに書かれ、書かれなくてもいいことが書かれ、書けば疲労するだけで、無益なのに書かれている。」 吉本隆明 「2 筆記 凝視 病態」 『言葉からの触手』河出文庫

いいものは決して滅びない

"Hope is a good thing, maybe the best of things, and no good thing ever dies." 「希望はいいものだよ。多分最高のものだ。いいものは決して滅びない。」 『ショーシャンクの空に』 原題:The Shawshank Redemption 1994年公開のアメリカ映画 スティーブ…

哲学にとっては、真実なるもののみが神聖

「宗教にとっては、神聖なるもののみが真実である。哲学にとっては、真実なるもののみが神聖である。」 フォイエルバッハ 「宗教の本質-序」 「それが好きか。動物のぬいぐるみが。ママもパパも大好き、そのパジャマも。何でも大好きだろう。でも知ってるか…

知性の破壊力に対する自然の防御

「宗教とは、知性の破壊力に対する自然の防御的反作用である。」 アンリ・ベルクソン 「道徳と宗教の二源流」