智恵あるが故に苦痛の苦痛たるを知りて自から満足するを得ず

「最も恐るべきは貧にして智ある者なり。世の中の総ての仕組を以て不公不平なものとなし,頻りに之に向て攻撃を試み,或は財産私有の法廃すべしと云ひ,或は田地田畑を以て,共有公地となすべしと云ひ,其他被傭賃の値上げ、労働時間の減縮等,悉く皆彼等の工風に出でざるはなし。…智恵あるが故に苦痛の苦痛たるを知りて自から満足するを得ず,其不平の鬱積,遂に破裂して社会党となりたるものなり。貧人に教育を与ふるの利害、思はざる可らざるなり。」

福澤諭吉
「貧富智愚の説」