祖先以来精神を練磨したることなくして、遺伝の智徳に乏しければなり


「北海道の土人の子を養て之に文を学ばしめ、時を費し財を捐てゝ辛苦教導するも、其成業の後に至り、我慶応義塾上等の教員たる可らざるや明らかなり。蓋し其本人に罪なし。祖先以来精神を練磨したることなくして、遺伝の智徳に乏しければなり。」

福沢諭吉
「遺伝之能力」
(『福沢諭吉選集 第二巻』)執筆・刊行:1882年(明治15年)3月25、27日『時事新報』社説より