休みない省察の眼を自らに向け冷酷にして誠実なメスを自らの内部に向けて切り刻む

「我々の理知をも感情をもひいては全存在を冷静な知性を凝らして観察し一応論理化することは相当至難なことである。教壇的な博識によつては及び難いことで、日頃休みない省察の眼を自らに向け冷酷にして誠実なメスを自らの内部に向けて切り刻むことがなくては、かゝる論理性は得がたいのである。」

坂口安吾
「一家言を排す」