民俗学

今の評論家は思想に就いてばかり折口信夫

「世界各国の文学が違つてゐるのは、 実際明らかに姿や様式が違つてゐるのだ。 内容や思想に重きを置いてゐては、本道は訣らない。 今の評論家は、思想に就いてばかり言つて、 その内容自身と、形式との兼ね合ひといふことを少しも顧みない。 其では表現を無…

わたしの一番いやだと思うのはボクという言葉柳田

「たぶんまたか とおっしゃるだろうと 思いますけれども、 わたしの一番 いやだと思いますのは ボク という言葉なんです。」柳田國男 「言語生活」六十七号 ブログ内検索Amazon最安値でセンスの光る古本屋【ふぃでりお書店】を出店中です。コトバを探す(例…

郷里へ戻ってこい、親はいつでも 待っている。

若き宮本が故郷を出るとき親父から授けられた十ヵ条の訓戒「(6)私はおまえを 思うように勉強させてやることができない。 だからおまえには何も注文しない。 すきなようにやってくれ。 しかし身体は大切にせよ。 三十歳まではおまえを 勘当したつもりでいる。…

伝統って、ちょっ、オマ!有り難がってるだけなのね

「『これは我々の伝統である』 といふ、 その伝統とは 果して何いふことを意味して居るか。 多くの人は その意味を知らずに使つて居る。 東北帝大の土居光知氏に云はせると、 これを『言葉の魔術』だといふ。 一般の人々は何とはなしに 伝統といふ言葉に眩惑…

「私は日本人である」 と国民としての私をイメージ

「…ベネディクト・アンダーソンの 『想像の共同体』などによれば、 近代という時代は、人々が、 たとえば「私は日本人である」 とか「私はアメリカ人である」 といった形で「国民としての私」を イメージしていく過程だという。 そうやって人々が 「国民」と…

ディズニーが『白雪姫』をアニメで「再話」していく

「「結社」は 十九世紀のヴィクトリア朝時代の アメリカ人たちが、 移民の国で生きるゆえに 過剰に 「伝統」 を求めたから必要とされたのである。 だから ディズニーが 『白雪姫』をはじめとする ヨーロッパの「民話」を、 アニメーションによって 「再話」 …

大江匡房の『傀儡子記』にて十分分かり申し候。

〜今日の本棚〜今日のつぶやき 【 ブヴァールとペキュシェ (上) (岩波文庫) フロベール; 鈴木健郎 入荷!本棚にアップしました。街のおされな古本屋【ふぃでりお書店】http://goo.gl/qQMv 】 「御話のわが国にジプシーごときものありし例が、 大江匡房の『傀…

ただ単に食べる人の立場である。

「私の立場というのは、 手短にいうと 国語利用者の一人 としてである。 御馳走で言うならば 料理人でもなく、 また給仕人でもなく、 ただ単に 食べる人の立場 である。」柳田國男 『国語の将来』Amazon最安値でセンスの光る古本屋【ふぃでりお書店】を出店…

庶民をさけたのです。柳田國男の「常民」

−司会者荒正人の質疑に対して。 「常民」について 「庶民をさけたのです。 庶民には 既定の内容が すでに定まり、 それに 理屈はいくらでもあるのですが、 常民には 畏れおおい話ですが 皇室の方方も 入っておいでになる。 普通として やっておられたことな…

自国に於て自国人によつて探求をなし得る

「…民俗学は 民族学よりも 遥かに 精確度が高い のであります。 民俗学は 自国に於て 自国人によつて 探求を なし得る のであります。」和辻哲郎 「日本民俗学の創始者」 民間伝承の会版 柳田國男先生古稀記念文集「日本民俗学のために」第一号 昭和22年2月…

イカサマといふのも古くからの言葉 柳田國男

「イカサマ といふのも 古くからの言葉で、 後には イカサマをするなどゝ、 あやしいことを さすやうになつたが、 元来は 何と考へても といふ心持だから 同じサマである。」柳田國男 「人の名に様を附けること」『定本柳田國男集 第十九巻』筑摩書房 p.491A…

以前はソナタとかコナタとかいつて呼んで居た。

「今でも家々の母は父に對して、 たゞアナタといふのが普通であるが、 以前は父の方から母に對しても、 ソナタとかコナタとかいつて呼んで居た。 たゞ呼びずてにはしなかつたやうである。 オマヘといふのも元来は妻に對する敬語であつた。 それよりももつと…

あまりにも耳をかたむけなければならぬことが多い

「しかしだんだんと 日本の國が大きくなり、 外へ出ていく人、 外から入つてくる者が ひじやうに多く、 もうこの太平洋戦争よりも ずつと前から村で話になる事件は 何十倍、何百倍といふほども増加し、 話の種類もすつかりちがつてきてゐる。 今ではあまりに…

新しい光で読んでもらひたいのです。

「此叢書の 一つの価値は、 寸分も作り話の無いことです。 敢て有益とは言ひませぬ。 面白ければ其で結構です。 炉何となれば、 現実にして且 面白ければ、 是ほど結構な人世は無いからです。 炉辺とは有りますが、 炉の無い家では 火鉢の側でもよろしい。 …

はてなしばなしは、下のものと関係が深い。

「はてなしばなし形式譚と呼ばれる昔話。 子どもたちが 年寄りや両親などから昔話を聞くとき、 つぎつぎ催促するので、 語りをやめるときに 話すものです。 「話が下に落ちたら終わり」 という言葉がありますが、 これも、 ふんどし、尻からげというように、…

清浄を愛し穢れを憎みたまふ神様

「日本民族の神々ほど、 清浄を愛し 穢れを憎みたまふ 神様は、 世界中 どこを捜しても 無い と云つてよい。」柳田國男---------------------------------- ♪いま聴いている曲はコレ♪【おすすめCD】 間テクスト性について知りたい方はコチラ マンガも偏って…

「おとう、これでわしたちを…」

「おとう、 これでわしたちを殺してくれ といったそうである。 そうして入り口の木材を枕にして、 二人ながら 仰向けに寝たそうである。 それを見るとくらくらして、 前後の考えもなく 二人の首を打ち落としてしまった。 それで自分は死ぬことができなくて、…

『異郷を郷土としてとらえることは果たして可能か』

「『異郷を郷土としてとらえることは果たして可能か』という課題を柳田は考え続けたが、全うできなかった。デラシネ(根無し草)の中から自分の思想を得た」 鶴見太郎『柳田国男入門』角川選書 2008 柳田国男入門 (角川選書) テクスト礼讃 通信簿 購読 ↑そのま…

男女が迷わず、過たなかった時代

「何時の世の中でも青春の男女が迷わず、過たなかった時代というものは有るわけが無い」 柳田國男『明治大正史』

あたかもうそつきなるかの如く

「…一般史学者のこれに対する態度が、なほ過當に冷淡であつて、所謂齋東野人の語を以て視るばかりか、時としては単純なる地方人を、あたかもうそつきなるかの如く取扱ふが故に、彼等がいよいよ其確信に固執するの結果となり、彼等と共に静かに傳説の歴史とし…

書いた物の勢力

「書いた物の勢力が今日より小さかつた時代には、民間の話は縁起や紀行を離れて又変化する。暫らくして再び来て見れば、面白い位に外形が改まつて居る。」 柳田國男「比丘尼石の話」『妖怪談義』『定本柳田國男集第四巻』筑摩書房 s38 p.265 使ってみたいウ…

よその民族よりも遥かに

「…唯日本の國民が、よその民族よりも遥かに立ちまさって、帝王巡國の傳説を信じやすい習性を具へて居た事實…」 柳田國男「史料としての傳説」『妖怪談義』『定本柳田國男集第四巻』筑摩書房 s38 p.192

盲信せず、自分の現象を検し

「ただ我々は外国の学者に盲信せず、自分の現象を検し、自分の疑惑を釋くことを心掛ける必要を認めるのみである。」 柳田國男「盆過ぎメドチ談」『妖怪談義』『定本柳田國男集第四巻』筑摩書房 s38 p.352

名前までが変幻出没して

「…化け物は名前までが変幻出没して居たのである。」 柳田國男「妖怪談義」『妖怪談義』『定本柳田國男集第四巻』筑摩書房 s38 p.304

かういう風に後ろ髪を引く

「妖怪はつまり古い信仰の名残で、人がその次の信仰へ移つて行かうとする際に、出て来てかういう風に後ろ髪を引くのである。」 柳田國男「盆過ぎメドチ談」『妖怪談義』『定本柳田國男集第四巻』筑摩書房 s38 p.352

言葉はそれを使用する者の地に立つて

「言葉はそれを使用する者の地に立つて考へて見なければ、少なくともその起こりを知ることは出来ない。」 柳田國男『妖怪談義』『定本柳田國男集』 第四巻 筑摩書房 s38 p.316

眼に見えぬ記録の数十頁を

「…直ちに標準語のお化け又は化け物に引直すことは即ち又常民信仰史の眼に見えぬ記録の数十頁を、読まずに飛ばしてしまふやうな不安がある。方言は早晩消滅すべきものであらうが、残つて居るうちは観察しなければならぬ。さうしてその意義を尋ねるのが学問だ…

彼らが取捨は如何にも無法

「従来の史家は揃ひも揃つて、傳説のほんの一小部分を史実としてそのまま採録し、他の大部分はまるまる排除した。発生成長の順序、及びこれを伝承する者の立場、土地との関係等から考へて、傳説にはその様な顕著なる類の差別はないので、彼らが取捨は如何に…

日本人はいかにして

「日本人はいかにして渡って来たかといふ題目」 柳田國男『海上の道』

「話の場」というのが大変重要な要素

「佐藤 [……]口承文芸という分野では、話の筋立てに興味が集中しているんですね。だから話されている状況、「話の場」というのかな、そこを切り捨ててしまう傾向が強い。たとえば中学生を集めてきて、生徒一人一人を話者と考え、昆虫採集のように話を聞き出…