彼らが取捨は如何にも無法

「従来の史家は揃ひも揃つて、傳説のほんの一小部分を史実としてそのまま採録し、他の大部分はまるまる排除した。発生成長の順序、及びこれを伝承する者の立場、土地との関係等から考へて、傳説にはその様な顕著なる類の差別はないので、彼らが取捨は如何にも無法であった。」
柳田國男「史料としての傳説」『定本 柳田國男集 第四巻』筑摩書房 s38 p.190