眼に見えぬ記録の数十頁を

「…直ちに標準語のお化け又は化け物に引直すことは即ち又常民信仰史の眼に見えぬ記録の数十頁を、読まずに飛ばしてしまふやうな不安がある。方言は早晩消滅すべきものであらうが、残つて居るうちは観察しなければならぬ。さうしてその意義を尋ねるのが学問だと私は思ふ。」
柳田國男『妖怪談義』『定本柳田國男集』 第四巻 筑摩書房 s38 p.322