首都は実に一国の花なり。しかれども一国の根幹は地方にあり

「首都は実に一国の花なり。しかれども一国の根幹は地方にあり。東京は実に日本の花なり。しかれども、仏国の実力が決してパリーに存するるにあらざると同じく、日本の実力は決して東京に存するにあらざるなり。東京は腐敗所なり。九州、東北、中国、四国、山陰、北陸、東海、東山、各地方の健児は続々東京に侵入して、その清新の技師は気をもって東京の腐敗を洗滌せざるべからず。東京は各地方によりて救済せらるべきなり、各地方は東京によりて風靡せらるべきにあらざるなり。」

堺利彦「地方と首都」p.109-110
堺利彦全集第一巻』法律文化社 1971