2008-07-01から1ヶ月間の記事一覧
「彼(柳田)の民俗学に志した動機には、「凡人の伝」に詩を感じ、「此川岸に立つ茅屋の一家族の歴史は如何。其老父が伝記は如何。彼一個の石、これ人情の記念にあらざるか……こゝに自然と人情と神の書かれたる記録存す」と叫んだ独歩に共通するものがあったと…
「ダァヰンがかつて彼をただ一言、しかし千金の重みを以て『此の比類のない観察者』と激賞した」 『大杉栄訳 ファーブル昆虫記』
「何等の光彩ぞ、我目を射むとするは。何等の色澤ぞ、我心を迷はさむとするは。」 森鴎外『舞姫』6段落 明治23年1月
「僕は勿論死にたくない。しかし生きてゐるのも苦痛である。他人は父母妻子もあるのに自殺する阿呆を笑ふかもしれない。が、僕は一人ならば或は自殺しないであろう。…今、僕が自殺するのも一生に一度の我儘かも知れない。」 芥川龍之介「遺書 小穴隆一氏へ」
「首を回らせば 七十有余年 人間の是非 看破に飽きたり。 往来の跡幽なり 深夜の雪 一ちゅうの線香 古窓の下。」 良寛
「僕も告白をせぬ訣ではない。僕の小説は多少にもせよ、僕の体験の告白である。けれども諸君は承知しない。」 芥川龍之介「澄江堂雑記」十六 告白
「批評のいちばんの悩み、口にするのが耻かしいためひそかに握りしめている悩みは、作品になることを永久に禁じられていることだ。」 吉本隆明「悲劇の解読」序−批評について−
「サティの音楽はアマチュアにも、また専門のピアニストにも、おなじように愉しみながら演奏できる「白い音楽」、詩的な、しなやかな感性をもった音楽です。“白い音楽”とは、作曲家の押しつけがましいところがまったくなく、また無駄なもののまったくみられ…
「文学作品の著者たちは、ただ単に一つの言語体系から言葉を選び出すだけではない。彼らは先行の文学テクストと文学伝統とから、筋、一般的な特徴、性格の諸相、心象、語りの手法、辞句や文までも選び出すのだ。もしも文学伝統なるものをそれ自体共時的な体…
「バルザックの短編『サラジーヌ』…「これは女性そのものであった、彼女は突如として恐怖を、不合理な気紛れを、本能になっている不安を、衝動のような大胆さを、空騒ぎを、微妙な感受性を、示した。」…あの文の中のある単一の記号、例えば、「感受性」とい…
「辞書は言語の墓場である」 サイモン・デンティス 1995 24