探偵小説は芸術であってはならない

「探偵小説は芸術であってはならない。
 エロ、グロ、ノンセンス、ユウモア等の謎々以外の風味を含ませるのは探偵小説の邪道、堕落道である。冒険、神秘、怪奇、変態心理、等々々の名を冠らせ得る小説は、探偵小説界の外道、寄生虫でしか在り得ない。そんなものは皆、この真の探偵小説界の非常時に際して、変格の名の下に、強烈な下剤を以て探偵小説界から駆除されなければならないのだ。」
夢野久作『探偵小説の真使命』