ジェラール・ジュネット

「テクスト、それはあのメビウスの環である。そこでは、内側の面と外側の面、記号表現の面と記号内容の面、エクリチュールの面とレクチュールの面が、休みなく回転し交替する。そこでは、エクリチュールが絶えず自らを読み、レクチュールが絶えず自らを書き、自らを刻み付ける。批評家もまた、この不可思議な可逆的循環の戯れに参入しなくてはならない。そしてそうすることによって、プルーストの言うように、あらゆる真の読者と同様、「自分自身の読者」とならねばならない。それを非難する者があるとすれば、その者は取りも直さず、読むということに対する自分の無理解をさらけ出しているにすぎない。」
G・ジュネット、花輪光他『フィギュール�』1989書肆風の薔薇、「純粋批評の根拠」