ロラン・バルト

「『テクスト』は『織物』という意味だ。しかし、これまで、この織物は常に生産物として、背後に意味(真実)が多かれ少なかれ隠れて存在するヴェールとして考えられてきたけれど、われわれは、今、織物の中に、不断の編み合わせを通してテクストが作られ、加工されるという、生成的な観念を強調しよう。この織物−このテクスチュール(織物)−の中に迷い込んで、主体は解体する。自分の巣を作る分泌物の中で、自分自身溶けていく蜘蛛のように。新語を好むならば、テクストの理論をイフォロジーhyphologie と定義することもできよう(hyphologie とは織物と蜘蛛の巣のことだ)。」
ロラン・バルト『テクストの快楽』