ジュリア・クリステヴァ

「小説の言表は小説という生産物全体の内部でつなぎ止められるのである。だから、小説の言表を研究すれば、まず、それらの累計額ができあがるだろうし、第二段階では、それら言表の小説外的由来を探究することが目標となろう。その段階になって初めて、小説というものを全体および/またはイデオロギー素として定義することが可能となろう。言い換えれば、小説外的テクスト総体(Te)に基づいて定義された関数がある値を帯びるのは、小説というテクスト総体(Tr)においてなのである。小説のイデオロギー素とは、Teに基づいて定義され、かつTrにおいて値を帯びる、まさしくこのテクスト間相互関連的 [間テクスト的](inter-textuelle) 関数のことなのである。」
ジュリア・クリステヴァ『テクストとしての小説』pp.20-21