ジュリア・クリステヴァ

「今日では、テクストは科学、社会、政治をつらぬく手直しの作業が行われる――実践され、提示される領土となっている。文学のテクストは今日では、言説としての、科学、イデオロギー、政治の表面を突き抜けて、それらをつきあわせ、広げ、鋳直すことを目指している。テクストは、多元的で、時に多言語的で、たいていは多声的(ポリフォニック)(テクストが連結する言表のタイプはさまざまなのだから)であって、ある結晶の形跡(グラフィック)を現在かしているのである。その結晶とは、無限の中のある一定の点、つまり歴史の中でこの無限が絡まりつく現在の点において捉えられた意味産出の働きにほかならない。」
ジュリア・クリステヴァ『記号の解体学 セメイオチケ1』原田邦夫訳、せりか書房、1983年 p.17