言葉(テクスト)はいくつもの言葉(テクスト)の交錯で

「書物の言説の宇宙においては、


受け手はもっぱら言説それ自体として


そこに含まれている。


したがって、受け手は、


作家が自分自身のテクストを書くときに照合する


あの別な言説(別な書物)と融合している。


それゆえ、


水平の軸(主体−受け手)と垂直の軸(テクスト−コンテクスト)は


合致しているのであって、


その結果一つの重要なことが明らかになる。


それは、言葉(テクスト)はいくつもの言葉(テクスト)の交錯であり、


そこには少なくとももう一つの言葉(テクスト)が読みとれる、


ということである。」

ジュリア・クリステヴァ
『記号の解体学 セメイオチケ1』原田邦夫訳、せりか書房、1983 pp.60-61