鏡板に描かれた松は能舞台の永遠の背景としてある「老松」

「舞台の背景に見える松の絵が描かれた板を、鏡板といいます。この鏡板に描かれた松は能舞台の永遠の背景としてある「老松」です。…もともと奈良の春日大社の「影向の松」と呼ばれていた実在する松を模したのがはじまりとされています。…どのような曲であろうとも、同じ背景です。…曲の場所の設定には関係なく、背景はつねに同じ松なのです。この驚くべき単一性は、能楽師の内面によって別設定されます。」
梅若猶彦『能楽への招待』岩波新書 2003 p.9-10