登場人物たちは 反目し合って

「ロドニー・シューワンの指摘を待つまでもなく、登場人物たちはすべて反目し合っている。ヘロデとヘロデアは口論を繰り返し、「若きシリア人」の思いをサロメは無視し、母(=ヘロデア)と娘(=サロメ)は言葉も交わさない。そして、サロメ預言者、ヨカナーンの心は最後まで決して通じ合うことがない。」
河内恵子『深淵の旅人たち――ワイルドとF.M.フォードを中心に』慶應義塾大学出版会 p.129