Salome

屍をあさり歩く女のやう。

「エロディアスの侍童 見ろ、あの月を。不思議な月だな。どう見ても、墓から抜け出して来た女のやう。まるで死んだ女そつくり。どう見ても、屍をあさり歩く女のやう。」 ワイルド『サロメ』岩波 <3>p.13

登場人物たちは 反目し合って

「ロドニー・シューワンの指摘を待つまでもなく、登場人物たちはすべて反目し合っている。ヘロデとヘロデアは口論を繰り返し、「若きシリア人」の思いをサロメは無視し、母(=ヘロデア)と娘(=サロメ)は言葉も交わさない。そして、サロメと預言者、ヨカナーン…

月は死んだ女のようです

「月は死んだ女のようです。死骸を求めている女のように見えます」という、比喩によって始まったこのドラマは、再びサロメ(エロス)の死によって比喩に回帰し、比喩的世界(ロゴス)は見事にその円環を完結することができた。 Peter Raby, Oscar Wilde(Camb…

「見る」ことを、最も強く欲し

「作品『サロメ』の中で、「見る」ことを、最も強く欲し、直接的に見ることを妨げ、いずれにせよ、男性が支配することに役立っているような文化的なヴェールを破棄することを、もっとも願っているのは女性である。」 Elliot L.Gilbert"Tumult of Images: Wil…

両性具有的な特徴を

サロメは「19世紀末には、処女性と結び付けて考えられることが多かった、両性具有的な特徴を多く備えていた」 Norbert Kohl, Oscar Wilde: The Works of a Conformist Rebel, tr.D.H.Wilson(Cambridge: Cambridge University Press, 1989),192

"見たい""眺めたい"という欲望

「"見たい""眺めたい"という欲望の点で、ワイルドが作り出した人物の中でもっともラディカルな存在である」 イアン・フレッチャー,Aubrey Beardsley(Boston: Twayne Publishers,1987),70

『サロメ』はダイアローグ

「『サロメ』は、ドラマとは言えなく」て「ダイアローグ」である。 アーサー・シモンズ, "Introduction,"The Writings of Oscar Wilde(New York: Gabriel Wells, 1925), vol.9,X?