美しい詩を前にして、一種の不感症が

「詩を詩でないものから識別することは、精神のひとつの自発的な働きである。…時折り、きわめて美しい詩を前にして、一種の不感症が証されることがある。時には、われわれと詩との間にわれわれの想像力が介入して、美が存在しないのに存在するかのようにわれわれに錯覚させることもある。かかる存在しない美は、美とは無関係な感動の記憶である。…ある詩が聞き取られるや、それを詩と判別せずにいたなどということは、われわれには不可能と思われる。」
ベネデット・クローチェ「詩と詩でないもの」