モーリス・ブランショ

「作家は一冊の書物を書く。だが、書物はまだ作品ではない。作品は、作品を通して、作品に固有なある始まりの烈しさのうちに、存在するという語が発言されるとき、はじめて作品なのだ。つまり、作品が、それを書く人と読む人との内的なつながりである場合に果たされる出来事なのだ。(中略)作家は、作品が存在してからあとは、死んでし まっているのではないだろうか。」
モーリス・ブランショ『文学空間』(粟津則雄他訳、現代思潮社刊)