南米批評

キリスト教徒たちがそれほど多くの人びとをあやめ、

「キリスト教徒たちがそれほど多くの人びとをあやめ、破滅させることになったその原因はただひとつ、ひたすら彼らが黄金を手に入れるのを最終目的と考え、できる限り短時日で財を築こうとし、身分不相応な高い地位に就こうとしたことにある。」ラス・カサス(…

それらの書物がすでに存在すると見せかけて、要約や注釈を差しだす

「数分で語り尽くせる着想を五百ページに渡って展開するのは労のみ多くて功少ない狂気の沙汰である。よりましな方法は、それらの書物がすでに存在すると見せかけて、要約や注釈を差しだすことだ」 ホルヘ・ルイス・ボルヘス『伝奇集』(Ficciones) 1944年刊…

ボルヘス ワイルドは偉大な 天才でしたが、作家としての趣味はひどい

「ご存じのように、10年後にオスカー・ワイルドが『ドリアン・グレイの肖像』を書きましたが、だいぶ劣っています。それは、くり返され、言葉のもっとも悲しい意味ですこし「装飾のついた」『ジキル博士とハイド氏』にすぎません。そうなのです、スティーヴ…

「ホルへ・ルイス・ボルヘス――叙事詩への愛着」ロベール・ルイによるインタヴューから抜粋

「ある友人にペルシア文学史の話をしたところ、イランとアラビア人たちには文学史も哲学史もなかったといわれました。すべてが永遠か、同時代であるかのようでした。私はこれのほうが賢いと思います。ひとが学ぶのは、流派、日付、ある作家とべつの作家の親…

「いっさいとは、」 J・L・ボルヘス 「バベルの図書館」

「いっさいとは、 未来の詳細な歴史、 熾天使らの自伝、 図書館の信頼すべきカタログ、 何千何百もの虚偽のカタログ、 これらのカタログの虚偽性の証明、 真実のカタログの虚偽性の証明、 バシリデスのグノーシス派の福音書、 この福音書の注釈、 この福音書…

わたしはボルヘスである

「しかし、しかし ── 時間の連続を否定し、自我を否定し、天文学の宇宙を否定することは、あからさまな絶望とひそやかな慰めである。スウェーデンボリの地獄やチベット神話の地獄と違って、われわれの運命はその非現実性ゆえに恐ろしいのではない。不可逆不…

われわれには引用しかないのです

「たしかに。もはや、われわれには引用しかないのです。言語とは、引用のシステムにほかなりません」 ホルへ・ルイス・ボルヘス「疲れた男のユートピア」

ブエノスアイレスの夕暮れ

「ブエノスアイレスの夕暮れと夜がなかったらタンゴは生れないだろうし、その空にはタンゴのプラトン的なイデアが、その普遍的形体が我々アルゼンチン人を待ち受けている」 ホルヘ・ルイス・ボルヘス『エバリスト・カリエゴ』(岸本静江訳)ピアソラがボルヘ…

不死であるというのは無意味なことだ

「不死であるというのは無意味なことだ。人間を除けば、すべての生物は不死である。なぜなら、彼らは死というものを知らないから。神聖なもの、恐ろしいもの、不可知なものは、みずから不死たることを自覚しているものだ。」 ホルヘ・ルイス・ボルヘス『不死…