2007-09-03から1日間の記事一覧

胸の拳銃をひきぬいて、発射

「怪物は顔に笑みを浮かべ、嘲笑うように、むごたらしい指でわたしの妻の亡骸をさしてみせました。わたしは窓に駆けより、胸の拳銃をひきぬいて、発射しました。が、敵は身をかわしてその場から跳びのくと、稲妻のようなすばやさで走りさり、湖に飛びこんで…

娘を奪われなければならない

クリュタイメストラ 「当事者であるメネラオスが、娘ヘルミオネを犠牲に殺せばよい。不義をした女(メネラオスの妻、ヘレネ)が、娘を連れてスパルタに戻ってきて、幸せに暮らすというのか。他方、あなたに操を立ててきた私は、娘を奪われなければならないの…

作者はもうピストルを口にふくむか、十字架に

ユイスマンス『さかしま』について、 「このような本を書いた後では作者はもうピストルを口にふくむか、十字架に跪くかしかない。」 バルベ・ドールヴィイ 1884.7.28付け「コンスティテュシヨネル」紙

信じたくとも信じられない者

「主よ、疑い深いキリスト教徒を憐れみたまえ。信じたくとも信じられない者、古い希望の導きの灯ももはやない天空の下、夜ただひとり船を漕ぎ出すこの人生の徒刑囚を憐れみたまえ!」 ユイスマンス『さかしま』