娘を奪われなければならない

クリュタイメストラ
「当事者であるメネラオスが、娘ヘルミオネを犠牲に殺せばよい。不義をした女(メネラオスの妻、ヘレネ)が、娘を連れてスパルタに戻ってきて、幸せに暮らすというのか。他方、あなたに操を立ててきた私は、娘を奪われなければならないのか。」
アガメムノン
「私も人を憐れむことは知っているつもりだ。狂人でもない以上、自分の子が可愛い。こんなことをするのは気がとがめるが、しないでおくのもまた気がとがめるのだ。これは是が非でもしなければならぬ。」
エウリピデス『アウリスのイピゲネイア』