アジアは光(薄明と闇のゆえに存在する)と魂をもつていた

「近代のものなるヨーロッパは理知と精神をもち、アメリカは物質と実用をもち、アジアは光(薄明と闇のゆえに存在する)と魂をもつていた。ヨーロッパに於いては動物と人間との交流と区別が説かれ、アメリカに於て機械と群衆との交錯がとかれるやうに、アジアは古来より人間と植物との変貌関係を考えた。ヨーロッパ文化が征服の文明である如く、アジアの文化は開花の文化である。」

保田與重郎
「芸術としての戦争」
保田與重郎全集第四巻』講談社 p.76