「方法」という言葉には、とりわけ注意深くあらねばならない

「「方法」という言葉には、とりわけ注意深くあらねばならない。なぜなら、「方法」は、それが方法として在るところには、きまって存在しないからである。二流の精神が受けとり且つ応用しようとするような方法は、すでに「方法」ではなく形骸にすぎない。「読む」ということは、いわば「方法」を読みとることだといってもよいほどである。」

柄谷行人
「方法をめぐって」『反文学論』講談社学術文庫 p.8 1991