二度三度、はなはだしきは四度五度のおじぎ、予輩はその煩にたえざる

「礼儀三◯◯、威儀三千と称せられし幕府時代の旧習なおいまだ去りやらず、何事にも上つらばかりの虚飾の残れるこそ口惜しけれ予輩はまず何とかして今日の敬礼法を改めんことを希望する者なり、ここに言う敬礼法とは「おじぎ」のことなり、途中にても座上にても、二度三度、はなはだしきは四度五度のおじぎ、予輩はその煩にたえざると同時にほとんど吹き出さんとするまでにこっけいの感を生ずるなり。(略)過度に頭を下ぐる者はみな賎劣のやからなりと認められらるるに至るべし。」明治33.9.4

堺利彦「風俗改良案 10 おじぎのこと」
堺利彦全集第一巻』法律文化社 1971 p.75-76
やたらと「おじぎ」する人