右わきを上に横臥したその右わききから、六牙の白象がすっと身体のうちに入ってきた

「摩耶夫人がある夜、美しい夢を見た。右わきを上に横臥したその右わききから、六牙の白象がすっと身体のうちに入ってきたのである。インドの人々にとって"象"は聖なる獣とされている。ましてや"白象"である。神聖このうえないもので、きっと何ごとかの吉兆に違いない──摩耶夫人はそう思った。そこで翌日早速、浄飯王が婆羅門に占わせたところ、こう答えたという。「王よ、ご長子の誕生にございます。夫人は太子をご懐胎になられました」」

ひろさちや監修
『よくわかる仏教の知識百科』
主婦と生活社 平成8 p.18