モデル読者の存在を考えてみるつもりです

「この意味でわたしは、多様な視点に開かれたテクストについてだけでなく、頑固で従順な読者を想定したテクストについても、モデル読者の存在を考えてみるつもりです。言い換えるなら、『フィネガンズ・ウェイク』だけでなく、鉄道の時刻表にだってモデル読者は存在するわけですから、テクストはそうした読者それぞれから、さまざまな協力を期待しているものなのです。」

ウンベルト・エーコ
エーコの文学講義』p.28