手をひっくり返して眺めて鬼気迫るなどとは

「自分の罪を考える、それが文学の中で本当の意味を持つのは、具体的な行為として倫理的に発展して表われるところにあるので手をひっくり返して眺めて鬼気迫るなどとはボーンという千万無量の鐘の思いと同じこと、海苔をひっくり返して焼いて、味がどうだというような日本の幽霊の一匹にすぎないのである。」

坂口安吾
デカダン文学論」