読むものが自分で読んでいるものを書いている気になる

「大切なのは、


書くものと読むものが


実際には同一の人間である


と見て差し支えない以上、


読むものが


自分で読んでいるものを


書いている気になってこそ、


その中に引き入れられるのである」

吉田健一
『横道にそれた文学論』文藝春秋新社 昭和三十七年 p.