梶井基次郎は志賀を尊敬し何度も読み研究したという

「『檸檬』という小品の成功の根本は、


わびしい気分や憂鬱といったものを、


わびしい、


つまり暗いイメージで描かなかったことです。


青春の、


瞬時に移ろっていく気分を、


瑞々しいイメージを積み重ねながら出していったことです。


(略)


梶井基次郎は、


志賀直哉を尊敬して、


彼の小説を何度も読み研究したという。


その無駄のない、


凝集度の高い文章が『檸檬


という作品に結晶しています。」

福田和也
福田和也の「文章教室」』講談社 2006 p.103