慶喜は政治家である。

慶喜は政治家である。政治家を小説の主人公にして成功した例は、シュテファン・ツヴァイクの「ジョセフ・フーシェ」のほか、わずかの例しかない。なぜならば政治家は政治的事象のなかでしか存在せず、当然のことながら政治的事象の変転のなかでしかとらえられない。」
司馬遼太郎
『最後の将軍』あとがき 文
春文庫 p.277