わずかばかりの主観的な感情を吐露しているかぎり

「わずかばかりの


主観的な感情を吐露しているかぎりは、


まだ主観的な詩人などといえたものではない。


しかし、


世界を自分のものにして表現できるようになれば、


もうその人は文句なしに詩人だ。


そうなれば、


彼は、行き詰まることもなく、


いつまでも新鮮さを失わないでいられる。


それに対して、


主観的な性質の人は、


わずかばかりの内面をすぐに吐き出してしまって、


結局マンネリズムにおちいって


自滅してしまう。」

エッカーマン(山下肇訳)『ゲーテとの対話』岩波文庫 p.218