よぼよぼと歩いている蝿。を近づけても逃げない蝿。

「冬の蝿とは何か?


よぼよぼと歩いている蝿。


指を近づけても逃げない蝿。


そして飛べないのかと思っているとやはり飛ぶ蝿。


彼等は一体何処で夏頃の不逞さや


憎々しいほどのすばしこさを失ってきたのだろう。」


梶井基次郎の「冬の蝿」