「霊魂がおそばにまいりますわ」 といいなおした。

「Mは、死病の床に就いているとき、


婚約者のKに、



「わたしが死んだら、わたしの霊魂をおそばにまいらせますわ」


といった。


それからちょっと考え込むようすがあって、


「霊魂がおそばにまいりますわ」


といいなおした。」


倉橋由美子『霊魂』