隴西の李徴は博學才穎、

「隴西の李徴は博學才穎、天寶の末年、


若くして名を虎榜に連ね、ついで江南尉に補せられたが、


性狷介、自ら恃む所頗る厚く、賤吏に甘んずるを潔しとしなかつた。


いくばくもなく官を退いた後は、故山、(くわく)略に歸臥し、


人と交を絶つて、ひたすら詩作に耽つた。」


中島敦山月記
冒頭書き出し