ソシュールは「話す主体」から出発するという。

ソシュールは「話す主体」から出発するという。しかし、それは、実際は「聴く主体」である。あるいは、デリダのいい方でいえば、自分が話すのを聞く主体である。ソシュール言語学は、したがってまた構造主義は、結局現象学的な独我論に内属せざるをえない。それゆえに、デリダクリステヴァは、構造主義への批判をフッサールに対する批判からはじめたのである。」
柄谷行人「第二章 話す主体」『探求?』冒頭