2009-04-26から1日間の記事一覧

中上健次『枯木灘』冒頭書き出し

「空はまだ 明けきってはいなかった。 通りに面した倉庫の横に 枝を大きく広げた丈高い 夏ふようの木があった。 花はまだ咲いていなかった。 毎年夏近くに、 その木には白い花が咲き、 昼でも夜でも その周辺にくると 白の色とにおいに 人を染めた。」中上健…