2008-07-20から1日間の記事一覧

聞えるものは谷川の音ばかりである。

「又前に待つた程の時間が立つ。聞えるものは谷川の音ばかりである。」 森鴎外『木精』23段落目

兩側に戸口があつて、窓は只一つある。

「久保田の這入つた、小さい一間は、相對してゐる兩側に戸口があつて、窓は只一つある。その窓の前に粧飾のない卓が一つ置いてある。窓に向き合つた壁と、其兩翼になつてゐる處とに本箱がある。」 森鴎外『花子』37段落目