『レッド』には計算しても計算しきれない"偶然の力"にも似たパワーを感じる

「『レッド』は、アルバム・タイトルともなった「レッド」から始まり、ラスト曲「スターレス」で幕を下ろすまで、全5曲によって構成された作品だ。全編に繰り広げられるドラムス、ベース、ギターという最小編成による緊張感溢れるコンビネーションと、その隙間を埋めるようにして送り出される管楽器の音色。さらにメロトロン・サウンドがそれらすべてを包み込む様子は、ヴィクトリア朝時代に錬金術師たちによって信じられていた気の源"エーテル"が漂っているようでもある。そこには計算しても計算しきれない"偶然の力"にも似たパワーを感じることもできる。」

岩本晃市郎
キング・クリムゾン
「レッド」ライナーノートより