のしかかってた重い大きな石が─ポケットの小石に変わる。

「悲しみは消える?いいえ。私の場合は消えない。この11年ずっと。でも変化はする。どう?何ていうかその─、重さが変わるの。耐えやすくなるわ。のしかかってた重い大きな石が─ポケットの小石に変わる。時には忘れさえするけど、ふとポケットに手を入れると─やっぱりある。"ああ、そうか…"と。胸が震えるわ。でも何とかなる。それって─つらくはあるけど息子の遺したものでしょ。だったら─持ち続けられるわ。どうせ消えないんだしね。それは…。それは何?いいのよ。それでね。」
子供の遺したものを地下室にしまう際に母親と交わしたやりとり。

映画『ラビットホール』より