テクストを解剖したり、過度に精読することがテクストの魔力を殺してしまう

「ですからいまでは『シルヴィー』のことなら、句読点の一つひとつ、隠れたメカニズムの隅々まで知っています。四○年間にわたり何度も読んできた経験からわたしは、テクストを解剖したり、過度に「精読(クロース.リーディング)」をすることがテクストの魔力を殺してしまうなどと主張する輩がいかに愚かであるか、実感しています。」

ウンベルト.エーコ(和田忠彦訳)
エーコの文学講義』p.21