城郭は守る者のために利なれども攻る者のためには害なり

「議論の本位を定めざればその利害得失を談ずべからず。城郭は守る者のために利なれども攻る者のためには害なり。敵の得は味方の失なり。往者の便利は来者の不便なり。故に是等の利害得失を談ずるには、先ずそのためにする所を定め、守る者のためか、攻る者のためか、敵のためか、味方のためか、何れにてもその主とする所の本を定めざるべからず。」

福沢諭吉
文明論之概略』巻之一